話し合いで解決がつかない場合には、調停や裁判により決めることになりますが、その際用いられるのが、裁判所が定めている養育費の算定表です。
この算定表は、子の人数(1人~3人)、子の年齢(0歳~14歳と15歳~19歳)、養育費を支払う側(「義務者」といいます)の年収、養育費を受け取る側(「権利者」といいます)の年収に応じて、義務者の支払うべき養育費の範囲を定めています。なお、年収については、給与所得者と自営業者の2種があります。
たとえば、子供が2人(9歳と14歳)、父(義務者、給与所得者)の年収が700万円、母(専業主婦)の年収が0円、という場合、養育費は月10万円~12万円の範囲となります。この範囲で、個別事情を考慮して養育費を決めるというのが一般的です。
養育費は、一度決めても、その後の事情の変動により、増減することができます。増額の事情としては、物価の上昇、子の病気などが考えられます。減額の事情としては、義務者側の失業や病気等による収入の減少などが考えられます。
養育費を支払う側の財産(給料や預貯金等)に強制執行をかけて、強制的に回収を図ることになります。この強制執行については、平成15年に法律の改正があり、いまだ履行期が来ていない将来の養育費を確保するための差押えもできるようになり、支払いを受ける側(多くは元妻でしょう)からすれば、便利になりました。逆に、支払いをする側(多くは元夫でしょう)からすれば、一度でも不履行をすれば、将来分の給与まで差押えを受ける危険がありますので、注意が必要です。
なお、家庭裁判所から支払いの勧告をしてもらう(「履行勧告」といいます。)という方法もありますが、強制力はありません。