離婚相談のなかには、夫と別居して母子で実家に身を寄せているが、夫から「勝手に出て行った」と言われて生活費を払ってもらえない、実家に頼ってばかりもいられないしこのままでは生活できない、と困り果てて相談に来られる方がいらっしゃいます。このような場合、まず何をすべきでしょうか?
この場合、夫と妻それぞれの収入に応じてということになりますが、基本的には、夫は妻子の生活費を負担すべき義務を負います。法律上は、この生活費を婚姻費用と呼んでいます。
婚姻費用については、まずは、当事者同士で、話し合いにより金額や支払方法を決めればよいのですが、上記のようなケースの場合には、そもそも夫が払わないと言ってトラブルになっているのですから、当事者同士の話合いでの解決は困難といえます。
そのようなときは、まず、家庭裁判所に婚姻費用の調停の申立てをします。
この調停の中で、源泉徴収票・給与明細・確定申告書・課税(非課税)証明書など、双方の収入に関する資料を出し合って双方の収入を算定します。その上で、裁判所が実務で使用する婚姻費用の算定表や計算式に基づき、婚姻費用を割り出していくことになります。
通常は、裁判所から、婚姻費用としては月額○○円が妥当だからそれで合意したらどうかと和解の提案がなされます。これで双方が納得すれば、調停成立により解決ですが、納得がいかない場合には、調停は不成立となり、当然に審判に移行します。
審判になった後でも、双方の合意が得られる見込みがあれば再び調停に戻ることが可能ですが、双方の合意が困難ということであれば、最終的には裁判所が審判という形で結論を出します。