夫婦ともに離婚後はその住宅に住むつもりがないという場合には、住宅を売却して代金を住宅ローンの支払いに充て、余りが出れば、双方で分ければよいので特に問題はありません。
では、住宅は妻が取得し住み続けるがローンの名義人は夫であるという場合はどうでしょうか。通常融資先の金融機関はローン名義人の変更には応じませんので、対金融機関との関係では夫がローンを支払うが、その原資を妻から夫にその都度支払うという方法が考えられます。この場合、夫から妻に賃貸するという形をとり、賃料として夫が原資を受け取る方法もあり得るでしょう。
年金も財産分与の対象となります。
年金については、法改正がありました。平成16年6月に年金改革法が成立し、平成19年4月からは、合意による年金分割が可能となりました(ただし対象となるのは、厚生年金の場合で、かつ、平成19年4月以降に離婚した場合のみです。厚生年金以外の場合、もしくは、平成19年4月以前に離婚した場合には対象とはなりません)。
合意が成立しない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てて分割割合を決めることができます。また、3号被保険者については、平成20年4月以降は、厚生年金保険料納付額の2分の1が当然に分割されます。
裁判例の傾向は、将来の退職金でも、近い将来に受領しうる蓋然性が高い場合には、財産分与の対象となるというものです。財産分与を行う場合は、今ある資産だけではなく、将来支給される可能性のある退職金にも注意を向ける必要があります。
裁判例の中には、8年後に定年退職を予定している夫に対し、退職金の一部について財産分与を命じた例もあります(名古屋高判平成12年12月20日)。